こんにちは、ミナピピン(@python_mllover)です。今年もいよいよ就活のシーズンがやってきました。弊社にもスーツを着たフレッシュな感じの人が最近ちょこちょこやってくるようになりました。
これを見て自分も就活して企業を回ったり、新卒で初々しかったころを思い出すわけですが、まあこの世界色々と地雷もあるわけで、自分では良い就活ができたと思っても蓋を開けると思ってたのと全然違ったなんてケースが存在します。
今日はそうならないようにIT業界を目指して就活または転職活動している方に向けて、IT業界の会社の種類や業務形態について話していきたいと思います。
IT業界には大きく3つの勤務形態が存在する
IT業界を目指す就活生や転職者の方に知っておいた方がいい事としてまず1番は勤務形態です。IT業界は特殊な業界で業態が「SES」・「受託開発」・「自社開発」の3つあります。
暗黙的なIT業界における企業の序列としては自社開発 >>> 受託開発 >> SES(派遣)って感じです。ここからは各業態についてざっくり解説していきます。
就活生はSESとSIerの存在を絶対知っておくべき
IT企業の就活において「SES」と「SIer」の存在は絶対に知っておかないと色々と絶対に損しするのでまずこれらについて取り上げていきます。まず「SES」とは、「システムエンジニアリングサービス)とはソフトウェアやシステムの開発・保守・
就活生の皆さんに知っておいてほしいのは、日本のIT業界において従事する人間の8割はこのSESという働き方で働いているという現実です。雇用形態は正社員なのにやっていることは派遣社員、それがこの業界の日常です。受託や自社開発で働くことができるのは業界の上位2~3割で、ノマドとかフリーランスとかでやっていけるのは、この層の人たちです。
残りの7割はただ言われた単調な作業をやるだけのIT版土方、つまりITドカタと言われる部類に入ります。まだIT業界を知らない就活生の人たちには派遣が当たり前になっているIT業界の現実に驚く人も多いと思いますが、これがこの国のIT産業の歪みです。
そして、このSESという業態でプロフェッショナル(笑)を各クライアント先に派遣している企業を基本的に、「SIer(エスワイヤー)」といいます。就活生の方でよく耳にするのはNTTデータ・日立製作所・富士通などが有名どころかなと思います。
こういった大手SIerはクライアントから直接発注を受けるいわゆる一次受け(元受け)なのでSESとはならず、彼らの下にいる下請け孫請けの会社が世間一般でいうところの「SIer」にあたると考えてもらっていいです。ですが、これらの会社の子会社、俗にいうユー子に入ると大企業であってもSESであることが多いです。
【システム開発の構造】
「IT後進国ニッポン」の病巣に迫る【前編】:IT業界の「多重下請け地獄」が横行し続ける真の理由 (3/4) – ITmedia ビジネスオンライン
こういった大手SIerは一次受けという日本のIT産業の搾取構造の頂点付近にいるので、まあそこまで待遇が悪いわけではないですが、仕事はITにはあまり関係ないマネジメントがほとんどで単調かつ激務というケースが多いです。
まあこの辺りは普通の大手の子会社という感じで、とりだててやばいというほどのものでもないんですが、この搾取構造の下層に存在している末端の中小のSIerというのがかなりやばいです。これがネットでよく言われる「SIerはやめとけ」という言葉にも繋がります。
なぜこういった中小のSIerがやばいのかというと、日本のシステム開発の搾取構造において二次受け三次受けに甘んじている中小・零細のSIerというのは上流で中抜きされた後の搾りカスのおカネしか貰えないわけです。
なので基本的に売上が低く、社員の給料も低い。そのためにエンジニアのスキル的にも質が低く人間が多く、中にはろくにコーティングをしたことがないという人間も多く存在している。というのが実態です。
加えてこういった零細SIerはシステム開発どころかコールセンターやテスターといったエンジニア以前のただ人手を派遣しているだけの派遣会社のようなところも多く。IT企業とはお世辞にも言えないところもちらほらあります。
IT企業というというと皆プログラミングくらいは普通にできる、というイメージを持っている方は注意した方が良いです。会社選びを間違えるとプログラミングすらろくにできない人間ばかりのIT企業に就職することになります。
こういうところに入ってしまうといくらポテンシャルがあろうとスキルアップできず単調な作業を窓際の席の安いイスに座らされて一生やらされるこの世の地獄のような場所に派遣されてしまうことも珍しくないので注意です。
そして普通のSIerでも優秀な人間は、後述する受託案件や自社サービスを開発している企業へ転職していくので、必然的に無能が残る→無能ばかりなので一生SESの派遣人月商売しかできない→低給料という負のスパイラルが常に発生しています。ここに長い間浸かってしまうと転職もままならなくなるので、抜け出すことが困難になります。
SIerも見分け方は至極明快で募集要項に「勤務地は都内各所(プロジェクト先による)」という文言がある場合は十中十句SESである。他にも以下のような文言を掲載している会社も十中八九SESだとみて間違いないでしょう。
- 社員数の割にオフィスが小さい
- 勤務時間が「客先に準ずる」になっている
- 月1回の帰社日をアピールしている
- HPが飲み会や社員旅行の写真ばかり(仕事風景がない)
SIerというのはスーツ勤務偽装請負SESエクセルパワポ職人。世間一般で根強く残っているIT業界の負のイメージの全ての生みの親です。もちろん全ての企業がブラックというわけではないが、薄給料ホワイト・薄給ブラック・高給ブラックの3パターンのどれかに大半が当てはまります。
一応その分求められるスキルはそこまで高くないので、転職サイトで未経験歓迎の募集を出しているところが多く、未経験の人の最初の一歩になっているという面でもあります。
後述する受託や自社企業は福利厚生や待遇が良い分求められるものは高いので、いきなり未経験でそこに入るのは学歴とかポテンシャル性とかを人事に感じさせないといけないので、皆が皆は入れるというわけではありません。
なのでIT業界未経験の人間の大半は大学のコネとか自学自習した成果などをだせないと、基本中小のSIerに入って経験を積むというのが最初の第一歩となると思います。
ここまでSESについてかなり辛口に書いてきましたが、上述したように今のIT業界では客先常駐ないIT企業のほうが珍しく、それこそIBMとか富士通みたいな大手ですら日本だとSESビジネスをやっています。そういった意味でSIerは世間一般での印象は良くないが絶対悪ではないという事を留意してください。
また大規模なシステム案件などはどうしてもきちんと取りまとめる必要があるので、そういった場合に豊富なスタッフを抱えているSIerの存在は頼りになることもあります。そういった意味ではSIerは必要悪的な存在に近い存在だと個人的には思っています。
とりあえずはSESやSIerは他に行く当てがなかった場合の最終手段にしてください。自分から好き好んで飛び込むところではありません。
関連記事:SESでキャリアを積むために必要なこと
受託開発
次に受託開発とは、クライアントから仕事を受注し、システムやソフトウェアを開発することです。基本的に「Web系」と呼ばれるグループに入ります。基本的に私服OKで働き方もフレックスやリモートワークが当たり前のように存在しており、モダンな感じの会社が多いです。
受託100%のところは諸々いい感じだが大抵は一部でSESも取り扱っていてSESの割合高いほどで会社の格は下がっていく印象です。なので面接の際には受託とSESの割合を聞いてみるのがオススメ。
まあ受託案件を継続的にこなしている企業は質のいいエンジニアが一定数いるということなので、自身が頑張りさえすればエンジニアとしてのスキルを積ませてもらえる環境があるという認識で問題ないと思います。
こういったところではPHPやRUBYやJavascriptといったプログラミング言語が良くつかわれているのでその辺り言語をプログラミングスクールなりで勉強して自前で簡単なwebアプリケーションをネット上に公開するくらいのことをしておくと面接も通りやすくなります。
個人的にはSNSでよくあるノマドとかフリーランスを実現するためにはSES・SIerをうまく避けてこういう感じのweb系に入社してスキルを積む→フリーランスになるというのが最も現実的かなと思います。
そのためにはまずプログラミングスクールで世間一般のweb系企業が求める最低限のスキルを身に着ける&人売りSESに引っかからないことが大切です。
(なぜこんな力説しているのかというと私自身が新卒で人売りSESに騙されて入ってしまい、自分の数年キャリアを無駄にしたからだ。今は運よく受託と自社サービスをやっている会社に転職することができ、世間一般でいうところの’SIer脱出’を果たしたわけだが、その過程は厳しかったしもう少し年を取れば転職できなかったかもしれない。そういった経験からIT業界を目指す人が間違った道に進まないでほしい。その一心で今この記事を書いています)
自社開発
自社開発というのは自分の会社でwebサービスなりを持っている会社、自前でサービスを持っていると、その利益を全て一人占めできるため無茶苦茶儲かる→社員の福利厚生も良い&エンジニアのレベルも高い。(その反面自社サービスが失敗すると多額の損を抱えることも意味するのでハイリスクハイリターンである)
日本でこの自社サービスという括りに当てはまるのが、ラインとかメルカリとかDMMとかDeNAとかサイバーエージェントとか。自社開発企業はエンジニアの質も高く福利厚生もよくIT業界ならトップ層という位置付け。
上昇志向を持つエンジニアなら皆大体心の底でチャンスがあれば自社開発の企業に転職したい思っているでしょう。新卒だと理系高学歴の場合はポテンシャル枠で入ることができますが文系の場合だとプログラミングとは関係のない営業に回されることもあるので難しいです。
神
グーグル・マイクロソフト
この辺りに入るとちょ〇ど氏みたい感じで、一生SNSのエンジニアクラスタでマウンティングが取れる
終わり
以上がIT業界のざっとした話です。まあIT業界を目指している方にはこの業界の半数以上がSES(正社員という名の派遣社員)という業態で働いていて、その人売りビジネスで飯を食っているSIerで成り立っているということをまず知っておいてほしいです。
なので、未経験でIT業界に入る人のほとんどはまずこのSESという働き方からスタートすることになります。そしてこのSESから抜け出せるかどうかがこの業界でステップアップできるかの最初にして最大の関門です。残念なことに大半の人はこの門が超えられず一生をSESで派遣社員として過ごすことになり、40・50で切り捨てられるという末路を迎えることになります。
昨今フリーランスとか年収一千万とか甘い言葉を並べ立てて情報商材とかを売ろうとしている連中がSNSに多く見受けられますが、彼らの語る優雅な生活は受託や自社で一人前のエンジニアのレベルじゃないと無理で、この業界の7割以上の人間がそのレベルにたどり着くことができないという事実を知ってほしいです、そんなに甘い世界じゃありません。大半は年収~500万から頭打ちでそこからほとんど上がりません。
マネジメントできるようになるか、スキルを磨いて独立してフリーランスになるか受託や自社開発の企業に転職するなりしないとこの壁を超えることは難しいわけで、そしてそこにたどり着ける人間はほんの一握りです。そういった意味ではITも他の業界とあまり大差ありません。
ですが、昨今他の業界がブラック化しつつあるという現状を踏まえれば、IT業界はSIerでもホワイトなところが増えてきていますし、まあ400~500は貰えるようになるので他の業界と相対比較するとIT業界にくるという判断自体は間違ってないと思います。
ですが、最初の会社選びで失敗して上述したようなただの派遣会社に入ってしまうとスキルも身に着けられないまま低年収で飼い殺しにされるという危険があることを認識してほしいです。
新卒で入るならやはり受託でいろいろやっている会社ですね。この辺りも新卒カードがあるならある程度コードが書けるだけで入ることが十分に可能なので、そのために独学もしくプログラミングスクールなどで勉強するというのがオススメですね。
世間一般ではプログラミングスクールはぼったくりとか言われていますが、個人的には独学で勉強していて詰まっていたときにプログラミングスクールに通うことで自走できるエンジニアになることができたのでその点はすごく感謝しています。
というわけでIT業界を目指している人はSES・SIerではなく受託や自社サービスを展開している会社をまず狙い、それに全て弾かれた場合の最終手段としてSIerを目指すべきだと思います。長くなってしまいましたが読んでいただきありがとうございした。
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